炎と共にお牛に乗って
8月16日、京都は五山の送り火
この時期、久しく京都にはいなかったので
何年かぶりの送り火の夜を迎えた
今のわたしの住まいからちょうど左大文字山が見えていて
このお山が傍に居てくれているみたいでいつも安心する
新月だからなのか今日は朝から何だかとても静かな町の気配だ
送り火をこの部屋の建物から見届けるのもよいかなと思ったけれど
いつもそこにいてくれる左大文字山がどんな風に燃えるのか
お山の真下で見届けようと足を運ぶ
こちらの大文字山の火床は下からもよく見えるところにあるから
暗くなっても火の番をされている人たちの気配が感じられて
点灯時間になると一つの松明から次々炎が分かれて点火されていった
現場の安全を十分払う声かけが麓にいても聞こえてくる
火床に火が入りだんだん炎が大きくなるようす
次第にぱちぱちと音も大きくなって
炎が人格を持ったみたいに空高く上がっていく
煙もぼうぼうおばけみたいに拡がって
火を焚く音がわたしの身体にどんどん伝わってきて
不思議なきもちになってしまった
昔、この送り火が始まった頃はきっと(調べてみると1600年代だそう)
町に街灯というものもなく、静かで
さぞやこの炎は5つの山から天に向かって立ち昇る火柱であっただろう
炎の煙にふわふわされながら
茄子のお牛に乗っかって還られたかな
この世界に誰が欠けてもこのいのちは存在しなかったのだな、
今日は連綿とつながるいのちの力づよい奇跡の様を想う
また来年
わたしは文明の利器の賜物であるアイスクリームを食べながら帰りました