A Night of Myth

 

 

昨年6月夏至の日の赤阪友昭さんのお話会から1年!
久しぶりの赤阪さん
宇宙ぐらいおっきなお話を聞きに夕方出かける

 

赤阪さんはある本で読んだ
カナダの海辺を一人キャンプする夜の暗闇に
突然オルカのブローが聴こえた体験を自分もしてみたいというきもちだけで
カヤックを新調し(琵琶湖で2.3回練習しただけで!)
キャンプ道具とカメラを背負って南東アラスカに飛び出していったそう

幸運にも最初からオルカに迎えられることとなり
その後も何度もオルカに会いに行く中で
さまざまな出会いや星野道夫さんに導かれ
いよいよアラスカとの時間が深まっていく

 

そんな中、南東アラスカにかつてハイダ族が住んでいた島々「ハイダグワイ」で対峙した
彼らの魂を表すトーテムポールや建物が朽ち果て今まさに土に還るところ

このトーテムポールは彼らの暮らす地に育った大樹から彫り出される
木で出来たトーテムポールはいつか朽ち果てる
修繕はしない
朽ち果てて土に還りまたこの世界の木々となって戻ってくるまでの長い長い時間を
繰り返し繰り返し一族たちが見ているこの時間軸を体験した話
彼らがみているのはトーテムポールの向こう側の悠久の時間軸の世界

スプルースというトウヒの極相林が拡がるアラスカで
自然界の最終形態と地球の意思を感じた話

 

ずっと聴いていたかったな、、

 

最後に読んでくださったのは
赤阪さんの友人でもあるクリンギット族ストーリーテラー、ボブ・サムが書いた
『かぜがおうちをみつけるまで』という物語り

わたしはこの本がだいすき
ボブが娘のバーディーに捧げたこの本のあとがきに書かれた一節をことあるごとに読み返す

 

「~
自然と結ばれること、そして自然界のあらゆるものにはそれぞれに与えられた場所があることを理解するのは、ヒトにとって大切だ。

自分はひとりぼっちだと感じることがヒトにはある、自分がしていることを、誰も気にかけてくれないと思うこともある。でも、自然に入りこみ、自然を知っていくとそんな気持ちはどこかへ行ってしまう。いつもそこにある本当に美しいものを楽しみ、体験することになるからだ。いのちにある飾り気のないもの、ウソのないものを楽しみ、体験することは大切だ。自然はいつだって私たちのよい友だちでいてくれる。私たちはまた時間をかけてお互いに愛と尊敬を伝え合い、生きているこの美しい世界を友だちと分かち合わなければいけない。

自分がしていることを、誰も気にかけてくれないなどと感じてはいけない。生きていくためにはヒトは心を通わせることが大切だ。友だちと自然を分かち合うと、顔に暖かい風が吹いてくるような気がする。この世界はすべての生きとし生けるものが分かち合う〈おうち〉なのだ。」

ボブ・サム『かぜがおうちをみつけるまで』(谷川俊太郎 訳) あとがきより

 

しずかで確かな夜をありがとうございました

 

*
2023.6.1 「時間を旅する木、トーテムポールに会いにゆく」
お話・写真 赤阪友昭
場 ギャラリー る(京都市)

*このお話会の様子は後日配信も行われるそうですよ!