立冬、聲、呼び覚ますもの
立冬、冬が始まる日
「山のあなた」という場所を主宰するみゆきさん(minarusuy)と共に迎えた『聲 こえ』の時間。
この時間の始まりに大切にしていることは
何者でもないじぶんのいのちの中心に立ち還るスイッチを入れること。
呼吸とその土地の振動をゆっくり合わせていくとそれは自然に訪れる。
じぶんがここに在る、という感覚。
そんなじぶんから出てくる息のような声の響きにお互い包まれると
みなここに居ることに安心する。
静かに暮れゆくお外の気配と灯る蝋燭の火に照らされて
ひとりひとり持ち寄った大切な一節を声にして。
それはいつもの日常にはない緊張や少し勇気を出すこと、
じぶんに忘れてしまった感覚を呼び覚ますようなこと。
この時間の最後、もう一度そっと声を出してみると
その響きはより透明で遠く高く低くどこまでも続いていくよう。
それはじぶんの可能性がずっと遠くまで広がっていることを教えてくれるよう。
開催数日前、みゆきさんがそっと送ってくださった画像には
「山のあなた」という場に掲げられている手で書き写されたことば。
”ここへ来ると、神話学者ジョセフ・キャンベルの言葉をよく思い出します。
「私たちには、時間という壁が消えて奇跡が現れる神聖な場所が必要だ。今朝の新聞になにが載っていたか、友達はだれなのか、だれに借りがあり、だれに貸しがあるのか、そんなことを一切忘れるような空間、ないしは一日のうちのひとときがなくてはならない。本来の自分、自分の将来の姿を純粋に経験し、引き出すことのできる場所だ。これは想像的な孵化場だ。はじめは何も起こりそうにもないが、もし自分の聖なる場所をもっていてそれを使うなら、いつか何かが起こることだろう。人は聖地を創り出すことによって、動植物を神話化することによって、その土地を自分のものにする。つまり、自分の住んでいる土地を霊的な意味の深い場所に変えるのだ。」”
星野道夫『旅をする木』 オオカミ より
お隣に位置する「Lai ある海の美術館」館長さんのななこさん
美しい額にななこさんによる手書きの筆跡が静かにこの場のこころざしを伝えてくれます。
みゆきさんとななこさん、おふたりがこの場を想うとき、こんなふうになるといいねとこのことばを掲げたそう。
わたしもあめつちという場を想う時、いつも片隅にある一節。
この『聲 こえ』という時間がお二人のまなざしの先に描いたものでありますように。
ななこさんと娘のチャオちゃん、みゆきさんが
当日、緑深いこの場で元気に自生している山ぶどうをテーブルに飾って下さった!
そしてみゆきさんのモンブランも最高でした!
立冬の日を一緒にすごして下さったみなさん
ありがとうございました。
夜になって灯りが灯るとここは住宅街とは思えない、森の中にみつけたあたたかな山小屋みたい。