あなたを感じていますと風がいった
霧の朝
夢の続きみたいだった
ベランダから臨めるだいすきな雑木林
鳥たちがあんしんして営巣する場
このちいさな森は年々、奥行きがなくなって
それは枝葉がきれいさっぱり剪定されたり
きっと百年はそこにいてくれた大木が
ある日ひっそりといなくなっている
この雑木林の神社の敷地の隅に
ひと際こころがほどける緑の小道がある
鳥たちの元気いっぱいの話し声に耳を澄ませたり
背の高い木々が風に揺れて光と陰が何層にも揺れる様子に
いつも立ち止まってしまうじぶんにはたいせつな場所
先日ひさしぶりの晴れ間に散歩に出ると
この小さな森の木々がたくさん切られてロープが張られていた
神社のためのあたらしい何かを建てると書いてある
忽ちわたしのこころには暗雲がたちこめて、何でという憤りがやってくる
大きな樹が切られた現場では条件反射のようにこの感情に飲み込まれる
これは今世だけでないずっと前から持ち越したどうしてもなかったことにできない感情
とてもおおきな怒りと諦めをずっと抱えて今世に降り立ったんだ
しばらく冷静にそんな感覚を観ている自分に
おっきくてやわらかな風が吹いて包んだ
一瞬の出来事
その風はそこに残った木々たちの枝葉を揺らし
何かサインを贈ってくれたようだったし
わたしの頭もなぜられたような気がしたけれど
きもちがふさいでいたからとぼとぼ帰る
その晩、オンラインのセッションに参加しているとき
誘導瞑想の中でじぶんがだいすきな場所に行って
その場のスピリットとコンタクトしてみてとガイドされて
さまざまな美しい景色を思い出したけれど
最終的にはお昼間散歩してこころが揺らいだあの小道に戻ってきた
頭を撫でてくれたような気がしたあの風にアクセスしてみる
お昼間の風はわたしのこころの中にも同じように吹いてくれて
こう伝えてくれた
あなたがわたしたちを感じているように
わたしたちもあなたのことを感じています
こころで受け取ったメッセージに
わたしは何かとても深く安心して
物質としての森はなくなってしまったけれど
そこに居たスピリットは形を変えてそこにあるのだと感じた
物質として見えなくなった森は
わたしと一緒になって混ざっていって
わたしはきっとそのスピリットの分すこし意識が拡大する
そんなイメージがやってきた
だから
じぶんだけでないたくさんのいのちと共にこれからも前に進む