おおきな手とちいさいわたし

 

 

このおっきな手のひとは、わたしの亡き父
おっきな手に抱えられているちいさいひとは、わたし

30代に入ったばかりか もしかしたら20代の頃の父
仕事が休みの日も年中現場の青い作業着を着ていた印象しかないのだけど
革靴とか履いていたんだなあ!

わたしはまあまあのお転婆で
このように抱きかかえられないとあっという間に何処かへ行って迷子になっていたらしいから
この写真はまさにその状況をあらわしたたいせつな一枚

ちいさな人を抱えていたこのおおきな手は
この日から何十年もして父の最期の日となる朝
大きくなったわたしの手をすごいちからで握った

 

最近おもうのは
何かいのちのちからについて思い巡らす時
そのヒントはいつもこのおおきな手に抱かれていた頃のじぶんにある

だからこの写真の頃のじぶんを目を細めてまるで元気いっぱいの先生のように
向けてもらった沢山のあたたかな目線と共に たいせつに思い出したい

 

 

父がいなくなるのと入れ替わりにやってきた猫は
7年目の初夏を迎えようとしていて
父が建てた農機具小屋のすきまは
風呂上りの父さんみたいな猫のお気に入りの場所